「modeless SKK」を着想してから「Sekka」が具現化するまで道のり
この数ヶ月は、SKKライクな日本語入力メソッド Sekka* を開発してきた。
今日は、その着想から今に至るまでを振り返ってみようと思う。
前々からmodelessは自分好みのスタイルだったし、[Sumibi.org]というmodelessな日本語入力方式も作った。
その後[Sumibi.org*]を毎日使っているうちに、modelessの弱点も同時に見えてきたので、さらに良い入力方式が存在し得るハズと思い続けてきた。
どうにかブレイクスルーできないかと試行錯誤した足跡を辿ってみよう。
時系列で振り返る
初歩的なアイデアをblogで文章化したのは、次の記事が初めてだったようだ。
[kiyoka.2010_05_08] 創作心理 今作りたいもの better SKK [Sumibi.org]と同じ様な統計的アプローチを使うが、連文節変換ではないも の。コード量はSumibiよりもはるかに少なそうな気がする。私が個人的に SKKのキライな所である、大文字小文字を駆使して送りがなを指定する部 分を、統計的に解決してほしい。使うキーもずっと減らして基本的に Ctrl-Jだけにしたい。
この時は、まだsticky-shiftを試しておらず、なんとか統計的手法で送り仮名の自動推定をさせようと考えていたみたいだ。 Ctrl-Jだけを使うというアイデアは、現在のSekkaで実現できている。
その後、modeless SKKという言いかたでなんとかmodelessとSKKの両立を考えるようになった。
[kiyoka.2010_08_08] 創作心理 今創りたいもの(2) 『modeless SKK』 前にも書いたがSKKライクな日本語入力メソッドを試しに作ってみたいと思っ ている。
次の8月10日の記事で、Sekkaという仮名が使われている。 このあたりで、modelsssな日本語入力方式をローマ字でやろうとすると、ミスタイプをどうにかしないとダメだと思い致ったようだ。 それで、結局Jaro-Winkler編集距離に行きついたみたい。
[kiyoka.2010_08_10] 創作心理**SKK modeless SKK 昔からある yc.el や ゆでたまご等の modeless 入力メソッドの弱点は、 目視では変換前のローマ字綴り間違いに気づきにくいというところ。 例えば、『しぜんげごしょり』なら間違いにきがつきやすいが、 『shizengegosyori』では全くどこが抜けたのかわからないだろう。
8月下旬には、プロトタイプを使って日本語入力ができていたようだ。
[kiyoka.2010_08_27] Nendo**Sekka SekkaをRackに載せて、試験運用中 sekka.elを1日程度ででっちあげて、このブログはEmacs+Sekkaで書いてい る。(勝手知ったるsumibi.elを改造したのでそんな期間でできたのだが…)
[kiyoka.2010_11_16] Sekka Sekka 0.8.0 リリース 初回リリースで、かつβリリースです。
ついに、β版がリリースされた。
感想
振り返ってみると、案外短期間で開発できていると感じた。8月から11月末で、しかも、[Nendo]の開発をメインにやっていたので、そこそこ開発速度は早いかもしれない。 成果物を、今日の時点で再評価してみても自分の狙ったものに近いソフトウェアになってきているし、経過は上々といったところ。 [Sumibi.org]で満足しなかったのが良かったのだろう。過去に自分で作ったものを否定するのは勇気がいる。過去の自分を否定することになるからだ。 しかし、自分を否定しないと超えられない壁がある。 頭の中にずっと良いイメージが浮かんだのなら具現化してみたくなるこの性分の影響も大きいだろう。これは後生大事にしないといけないなぁ。
教訓
アイデアを具現化してみることが重要。(実際に具現化しないと、自分が何を欲しがっているのかは見えにくい) 過去の自分の作品を否定する勇気も必要。